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札幌地方裁判所 昭和49年(ワ)999号 判決

原告

北海道いすず自動車株式会社

右代表者

内田昇

右訴訟代理人

中島一郎

被告

大西正雄

右訴訟代理人

徳中征之

主文

一、被告は原告に対し、別紙目録(一)ないし(五)各記載の自動車五台の引渡しをせよ。

二、右目録(二)記載の自動車の引渡の強制執行が執行不能のときは、被告は原告に対し、金二三万円およびこれに対する右執行不能の日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。

三、原告その余の請求を棄却する。

四、訴訟費用は被告の負担とする。

五、この判決は主文第一項に限り仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一、請求の趣旨

1  被告は原告に対し、別紙目録〈略〉(一)ないし(五)各記載の自動車五台の引渡しをせよ。

2  右目録(二)記載の自動車の引渡しの強制執行が執行不能のときは、被告は原告に対し、金二三万円及びこれに対する昭和四九年一〇月二三日から支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

4  仮執行宣言

二、請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一、請求原因

1(1)  原告は自動車の販売を業とする商人であるが、別紙目録(一)ないし(五)各記載の自動車五台は、いずれも原告の所有に属する。

(2)  被告は右自動車五台をいずれも占有している。

2  よつて、原告は被告に対し、所有権に基づき右自動車五台の引渡しおよび同目録(二)の自動車については原告申請に係る被告の占有を解いて執行官の保管を命ずる旨の仮処分命令〔同四九年(執ハ)第一四六号〕によつて同四九年九月一七日執行官保管に至らなかつたもので時価は二三万円であるから、本判決によつて右自動車の引渡の強制執行が執行不能のときは、右金員および訴状送達の翌日である同四九年一〇月二三日から支払ずみに至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二、請求原因に対する認否

1  請求原因1については全部認める。

2  請求原因2については不知。

第三  証拠〈略〉

理由

一請求原因1記載の事実については、当事者間に争いがなく、別紙(二)記載の自動車が原告主張の日に執行官保管に至らなかつたことおよび該自動車の時価が本件口頭弁論終結時に二三万円であることは証拠〈略〉により認めることができる。

二ところで別紙目録(二)記載の自動車の引渡の強制執行が執行不能となつた場合、この代償請求権について遅延損害金が発生するのは、右請求権が右自動車の引渡の強制執行が執行不能になることを停止条件として確定的に発生すると解されることに鑑み執行不能の日から履行期を徒過して遅滞に陥り一種の不法行為として民事法定利率年五分の遅延損害金を求めうるものと解される。

三よつて原告の本訴請求は、主文第一項および第二項の限度で理由があるからこれを認容することとし、その余は失当であるから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条但書を仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 (佐々木一彦)

目録〈略〉

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